hakolove2の日記

アラフォー独女の悪あがき

山本七平著『「空気」の研究』を読んで。

初版は1977年ととても古い本ですが、現代に通ずる、読み応えのある本です。読み応えがありすぎて、2週間(図書館の返却期限)では読み終わりませんでした。最後はあとがきを慌てて読む始末・・・

 

でも、この本とても面白いです。途中わけわかんないところもありましたが、特に「空気」に支配されて生きている方々(大半がそうだと思いますが)は、一読の価値ありです。

 

裏表紙の文を載せると、

日本において「空気」はある種の絶対権力を握っている・・・・・・。著書の指摘から40年。現代の我々はますます「場の空気を読む」ことに汲々とし、誰でもないのに誰よりもこの妖怪を「忖度」して生きている。

 

とあります。

 

まさに今〇〇〇禍と言う名の巨大な「空気」に日本中が包まれていますね。空気とは、誰かによって醸成される場合がある。自然発生的なものなのか、故意に作られたものなのかは、自分で調べて、価値基準をきちんともち、判断しなければいけない。そして、故意に作られた空気であって、それが結果として社会的にマイナスに働いた場合(戦争とか今とか)に、その空気を作った責任は問われることはない。マイナスになった原因は全て「空気」にある。そういうことだと。

 

大勢が賛同しているからと言って、それが必ずしも正しいわけではない。でも正しいことを言う(水を差す)ことは「空気」的に難しい。そういう空気だから。

 

ざっとこんな感じのことを書いてます。

 

そんな中、ちょっと面白い「空気」もありました。

それは、信仰に近いかな?私は最近メルカリで御朱印を売りました。賛否両論あるかと思いますが、「大切にお持ち帰りください」と渡された御朱印を、ゴミ箱に捨てることができませんでした。それで、メルカリを検索したら結構出品している方がいらしたので真似した次第です。ここで「大切に~」に縛られている私の心理的状態が、この本でいう「空気」への畏怖です。

 

出品に当たり、御朱印とは何ぞやと調べてみたら、要は領収書なんだそうです。なんだ、ってことは捨てて良いじゃん。というのが私の第一印象です。であれば、メルカリで御朱印を買うというのは、領収書を買う(経理的な意味じゃなくてね)のと大して変わらないのではないかと言うことです。出品を否定する方々は、「そんな神聖なものを売るとはどういうことだ、けしからん!」ということなのでしょう。その気持ちは偶像崇拝的なもの。一方で、「なんだ、タダの領収書なんだからゴミ同然じゃないか、欲しい人がいるならあげるよ」というのは御朱印をただの物質としてみているということ。

 

これも一種の「空気」という考察です。非常に面白くないですか?

あーなるほどな。と思いました。

 

心を支配する「空気」とは一体どういうものなのか。どう付き合っていくべきなのか。果たしてその作られた「空気」は正しいのか、情報操作なのか。ご自身で考え、調べ、判断できる空気への抵抗力みたいなものが、この本で少しでも生まれると良いなと思いました。