函館山の麓に、大好きな和菓子屋さんがあります。創業1860年の函館千秋庵総本家本店です。その本店の前に、高田谷嘉兵衛の像が立っています。「高田屋嘉兵衛」函館市民であれば誰もが聞いたことがあるであろうその人のことを、私はよく知らないということに、ふと気づきました。

そこで、高田屋嘉兵衛のことを書いた本はないか探してみたところ、司馬遼太郎大先生が、6巻に渡る大作を書いていることを知り、手に取った次第です。
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高田屋嘉兵衛を題材に描かれた小説ですが、半分(もしくはそれ以上か)は時代背景について語られています。
江戸後期の話ではありますが、現代に通ずることも多数。嘉兵衛の人生がものすごい躍動感で描かれていて、陰から覗いているような臨場感があります。まるで映画を観ているような感じです。何度も胸が詰まるというか、涙がこみ上げるシーンがありました。
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最後の解説に沿って、私が感じたことも少し、述べてみようと思ったのですが、あまりに熱く止まらない思いがほとばしってしまったので、1つだけにします。
意地悪
”この時代の日本社会の上下を貫いている精神は、意地悪というものであった。上のものが新入りの下の者を陰湿にいじめるという抜きがたい文化は、たとえば人種的に似た民族である中国にはあまりなさそうで、<意地悪・いじめる・いびる>といった漢字・漢語も存在しないようである”
国に関わらず意地悪な人はいるけれど、国民性として挙げられていることの情けなさを覚えました。ワイドショーなんて公開意地悪の場だと思っているので、それを好き好んでみている人が多数なことを考えれば、素質に意地悪が組み込まれているのでしょうか。組み込まれていないことを願うばかりです。
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箱館を見付けて、拓いてくれた嘉兵衛さん。
函館は、ミグ戦闘機が不時着したり、津軽海峡は公海だったり、昔はロシア軍艦が函館港に立ち寄って、ロシア兵が街を歩いているのも見たことがあります。
明治末期~昭和初期は、北洋漁業でかなり栄えたそうです。私が子供の頃は、その残り香がありました。でも、今は国内でも上位の高齢化都市みたいです。
私にとっての【利と欲】は、「函館の現状維持~もう少し元気になってもらえるようにできることを考えて、ぼちぼち稼ぐ」かなー。結局生まれ育った街が好きですね。
簡単に言うと、ものすごく有益な参考書のような本でした。中学生くらいに今の感受性をもって読んでいたら、人生違ってたかもな。
かなり良い本だと思います。